イノシシの丸焼きが焼かれる極寒バースデーパーティ
メディチの幼馴染マックスが40歳の誕生日を迎えるとのことで、バースデーパーティに招待された私たち。息子とその時たまたま遊びに来ていたメディチの親友バティと連れ立って向かうと、すでに周囲のぶどう畑の脇に車が10台以上駐車されていた。遠くからでも自ずと分かる会場、マックスの自宅。こんな風に勝手に止めていいのかなーなどと常識人的には気になりつつも、とにかく同じように駐車して建物の方に向かった私たち。
え…?外?
その日は寒かった。外は風も強く、気温も3℃くらい。そんな寒空の下にダウンやニット帽をかぶった人々が群れているじゃありませんか…気は確かか!みんな楽しそうにおしゃべりに夢中になっている。ほんと、みなさんおしゃべり好きだよね。
ワインを中心とした飲み物や手作りのキッシュやピザが用意されていて、お腹も空いていたのでいくつか食べてみたものの、完璧に冷え切っている。冷蔵庫から出したばかりのような冷たさだ。室内にはきちんとテーブルも用意されているのに、なぜ…なぜ今外を選んだのか。
イノシシの丸焼きがぐるぐると
何人かとおしゃべりしつつもしばらくすると徐々に体が冷え込んできた。ふと横を見ると一緒に来たバティも寒そうだ。「なんで外なんだろうね、寒いよね?私慣れてないからきついよ」と話してみると「俺も。なんで外なんだろ」とバティも同意している。彼は大きめな街に住んでいてインドアな人だから寒い屋外とかはノンメルシーなタイプ。だよね、私だけじゃないよねそう思ってるの!
「あっちでイノシシ焼いてるから見に行こうよ!」メディチが元気にやってきた。さすが彼はこの辺の人だ、寒いのとか気にならないらしい。てか、え?イノシシ?
行ってみると確かに、何か動物がぐるぐると焼かれている。個人のバースデーパーティで丸焼きが出るなんて想像してなかった。このぐるぐる回す専用機械とかどこから来たんだろう。すごい、恐るべし田舎の調達力。焼かれるイノシシの脇に立っていると煙たいけどだんだん暖かくなってきた。
イノシシはパーティ向き
この辺は森が多く野生のイノシシがかなりいる。人の住む場所にも結構来るようで、今年の夏は私の住む家の近くまできて「フゴフゴ」と鳴き声が聞こえたくらい。メディチのお母さん(80歳)は道路でイノシシを跳ね殺しちゃって、ほっとくのももったいないので持って帰って食べたという逸話もある。
狩りが季節によっては日常的に行われていて、ハンターの友達がいたら余った肉をたくさんもらえるのでこんな感じの大人数のパーティではローコストで提供できるからうってつけだ。しかし丸焼きともなると焼くにもかなりの時間がかかるので、きっと朝から焼いてるんだろう。お疲れ様です。
暖かいのはいいけど煙が目にしみて辛いので、焼かれるイノシシから離れた私たちはまた寒さに苦しむことに。もう着いてから2時間が経っている。この愛すべき田舎人たちはいつまでこうしているのだろう。メディチも寒さを物ともせずおしゃべりに花を咲かせているので中に入ろうよとも言えずに耐えていると、息子が室内へのドアに向かって進み出した。えらい!君は正しい!そうだ、中に入ろう!そうしてバティと息子を賞賛しながら室内へ逃げ込むことに成功したのだった。
あぁ、暖かい。室内は天国
中にはすでに何人か賢人がいて暖かさを満喫していた。息子と楽んでいると、外から人がわらわらと入り始めた、肉が焼けたようだ。やっとパーティ本番(?)が始まるらしい。テーブルに座るとナイフやフォークが用意され、大きな肉の塊も回ってきた。かなりお腹も空いていたのでがっつく私たち。じっくり焼かれたイノシシの肉は柔らかく、実に美味だった。
お腹かが膨れてしばらくするとこのパーティにも飽きてきた。こういったパーティはかなり長いのでうまく切り上げるのも大切だ。脱出の機会を探るメディチ一行。タイミングよく息子がぐずったりしたので「もうこの子疲れちゃったんですー」とすかさず周囲にアピール。
主役の挨拶を聞いて満足
少し経った頃、フランス語でハッピーバースデーの歌の合唱。主役のマックスが椅子に立って挨拶を始めた。周りはみんな酔っ払ってるので、脱げ脱げー!などと冗談が飛ばされる。ごちゃごちゃしつつも「今日は来てくれてありがとう!」的な挨拶がされ、会場は暖かい雰囲気に。おめでとうマックス!またゆっくり話そうね!
好機っ!とばかりに、「息子が疲れっちゃったからこの辺で失礼するね!またゆっくりね」と近くにいたマックスに挨拶をして、そのあと何時間か続くであろうパーティをそそくさ後にした私たち。
終わってみれば、なかなか刺激的で楽しいパーティだった。今度マックスにあったらお礼を言っておかなくちゃ。
初雪降ったよ!南フランスなのに…
二日酔いのメディチをベットに残し、早起きした息子にせがまれて一階に下りていったら、外がなんか変。
もしかして、雪…降ってる?これ降ってるね!初雪じゃ!
インスタント雪景色
ちょっとの時間だけだったけど、少し積もってにわか雪景色。最近は最低気温がマイナスになる日も多くて冬らしくなって来たなぁと思ってた矢先にこれ。フランスの季節は急に変わる気がする。それにしても、ちょっとでも雪が降ると無条件でヒャッホーイ!ってテンション上がるのなんでだろ。温暖な静岡でも雪降るの珍しかったからかな。
今日から12月とはいえ、ここ南フランスなんだけどなぁ…やっぱり山ん中は一味違う。 雪はお日様が出たらさーっと溶けてしまったけど、ちょっと楽しい冬の日の朝でした。
田舎で鉄球バトル!初心者がペタンク大会に出てみたら【その1】
ペタンク。
一度はその名前を耳にした人もいるかもしれない。サクッといえば金属のボールをビュットと呼ばれる目標にできるだけ近くなるように投げるゲームでとてもシンプル。フランスでは公園やちょっとした広場がある場所でおじさんたちが昼間から遊んでいたりする光景を目にする。体力や筋力があまり必要なものではないので、子供からおじいさんまで遊ぶことのできるフランス発祥のいわば国民的ゲームだと思われる。
私も先月に初めてのペタンクを経験したばかり。その時は、私以外は全員かなり酔っ払っている中でお隣のご主人、ブルーノ師匠に細かくルールやテクニックを指導してもらいながら楽しくやったのだけど、そんな超初心者の私もいきなりご近所ペタンク大会に参加してみることに!
ペタンクのルールをサクッと解説
人や場所ごとにペタンクのルールはちょっと違う部分もあるのかもしれないけど、私が体験したペタンクのやり方をサクッと説明。ほんとにサクッと。
準備
1チーム、2人か3人で組み、ダブルスの場合はペタンクの玉3個、トリプルスの場合は玉2個を持つ。
始め方
- 両チームのボールを1個づつとビュット(目標のボール)の計3つのをボールを代表がぽいっと投げる
- ビュットに近い方に落ちたボールのチームが先行
ゲームの進め方
- 先行チームがまずビュットに向かって、できるだけ近くなるようにボールを投げる
- 後攻チームがボールを投げ、先行チームよりビュットに近く投げられたら交代。先行チームの方がまだビュットに近ければそのまま続けてボールを投げる
- そのあとは、ボールがビュットに近くない方が常にボールを投げていく
- 両チームボールがなくなるまで投げる
- 投げ終わったら得点を集計
勝敗
上記が1ゲーム。得点を加算しながらゲームを重ね、13ポイント先に先取した方が勝ち。
ペタンクの細かいルールや、奥深い遊び方は以下のページがとてもわかりやすくて、私は得点の計算方法がまったく分かっていなかったんだけどこのページを見てやっと理解できた。感謝感謝。ん?2024年オリンピックがパリにほぼ内定とな⁈それは知らなかった。ペタンクも追加競技になったりしたら面白いね。
参加者集合。フランスのご挨拶ビズの嵐
今回のペタンク大会は村でレストランをやっているメディチの友達が主催でどうやら30人近くが来るらしい。車で5分ほどのレストランまで行ってみると、すでに人がたくさん集まっていた。
フランスで人がたくさん集まるといつも煩わしいのが初めの挨拶!こんにちはと挨拶したり自己紹介しながらビズと呼ばれる左右のほっぺにチュッチュってやるあれを全員にしなければならない。コミュ症の人にはハードルの高い挨拶だ。相手と速攻で親しい雰囲気になれたりと距離感を縮めるメリットもあって、素敵だなとも思うけど、新しい人が到着したらその都度。今回みたいに大勢の時はもう結構時間かかるし、誰が誰の奥さんでなんたらかんたら…もちろん名前なんて覚えられるわけがない。
ちなみに、ビズのチュッの回数はフランスでは地域ごとに違う。この辺は南のプロヴァンスエリアなので3回、リヨンあたりからパリなど北のほうに行くと2回になる。確かマルセイユは4回の場合もあるとか。相手が北のほうの人だとこちらが3回やるつもりなのに相手は2回で終了、とちょっとまごついた空気になる。そんな空気も初対面の緊張をほぐすいいきっかけになったりする。男性同士だとビズはちょっとやだなという人もいるようで、そういう場合は握手だけでもOKなようだ。
チームを組んで試合開始!
くじ引きでチームが決定。超初心者の私と組むことになったかわいそうなパートナーはうちの近所に別荘を持ついつも感じのいいイケメンピエール。今回はこのペタンク大会のために北風の吹くラ・サボまでわざわざやってきた男。「頑張ろうね!」と握手したものの、ピエールはマイボールを持参しすぐに投球練習に勤しむほどの本気具合。かたや今回が2回目の私…気まずい…非常に気まずい。
とにかく試合が始まる。トーナメント形式で、全部で14チームが熱い鉄球バトルを繰り広げる。どうなることか…ごめんピエール、初戦敗退でも許してね。
蘇るこの感覚は…!
1試合目が始まってみたら、ピエールともう一人、これまたうちの近所に別荘があるお宅のかわいこちゃん、たぶん中学生くらいのジュッドもうちのチームに編成されていた。たまにあったりすると最近は親しげな挨拶をしてくれるたぶんいい子。
先行が決まってピエールがまず投げた。うん、やっぱりこの人はうまそうだ!次は私の第1投。
…ドス。
少し緊張もあってか、微妙〜な位置に。ピエールの「あ、この人これくらいのレベルね」みたいな、朗らかな笑顔に隠れた苦笑いを見た気がした。
次にジュッドの一投…ゴロゴロゴロ。投げ方はちょっと変だけど、ビュットのすぐ脇につけた!「完璧!」盛り上がるピエール。うん、このチームのヒロインは君で決まりっ!そんな勢いもあってか、調子よく得点を重ねる我がチーム。
試合の最中、私の体に蘇る感覚が。これは…ボーリング?
重いボールを前に投げるこの動作は、小学校からの友人たちと会うたびに行っていたボーリングのそれに近い感覚だった。スピンをかけて勢いを殺したり、目標に向かって気持ちを集中して投げたり。本当は邪魔な相手のボールにぶつけて飛ばしたりいろいろテクニックがあるんだけど初心者の私にそんなことできるわけもなく、ただ一途にビュットの近くを狙って投げるのみ。そうやっていたらだんだんうまく近い位置に落とせるようになってきたのだ!
変わるピエールの目つき。
どうやら私も戦力として活躍できたようで、見事大差で初戦を勝ち越したのだった!盛り上がるチームメイト。輝く笑顔で次の試合も頑張ろうねと握手を交わしたのだった。
まだ1試合しか書いてないけど、なんだか長くなってしまったので今日はここまで!
次回、ダブルセシールとの激闘から準々決勝、そして結果は…!またお読みいただければ幸いです。
隣人のオリーブで漬物を
メディチはマメな男である。
私はぐうたらな人間なのであまりあれこれとやったりしないのだけど、彼は好奇心旺盛でいろいろなことをやってみるタイプの人。料理に菜園、日曜大工、ドライフルーツ作り、果実酒作りなどなど…。オタク級ワイン好きと作るのが好きなのが昂じて、自分のワインを作りたくなってしまったのもあってフランスに帰ってきた彼。そんな彼のワイン作りについてもまた機会があれば書いてみたいと思う。
さて、今日は彼の趣味の一つでもある漬物作り。
季節ごとにここ田舎ではいろいろな素材が登場するので付き合わされることもある私はたまに面倒くさいと思っているのだけど、出来上がりは美味しいことも多いので、もう少し気持ちよく協力するべきなのかもしれない。
本日の素材は、オリーブ!
ここプロヴァンスでは10月の今くらいに緑のオリーブが収穫を迎え始め、11月上旬に黒く熟したオリーブオイル用の実を収穫するとのこと。今年は変な年らしく、6ヶ月近く雨がまとまって降らない変な気象にもかかわらず、オリーブはきちんと実をつけているあたり乾燥することもあるこの地域にあった植物なんだと思わされる。
うちのお隣さんは普段はパリに住んで仕事をしていて、夏のバカンスシーズンになるとこちらで何ヶ月か生活しているとても人のいいブラジル人家族(そんな暮らし憧れるよね)。もうすぐ1歳半になる息子のことも可愛がってくれていて、とても懐いていたのだけど、9月にはパリに帰ってしまったので素敵なお宅も今は無人。その庭にある立派なオリーブの木に見事な実がどっさりなっているのでメディチが目をつけた!
え?勝手にとっていいの?という私の疑問はどこ吹く風。さぁパニエ(カゴ)を持って収穫収穫〜
大きな実がどっさり!まず選別作業
さてまずは選別。そのまま漬けるタイプと、潰して漬ける2種類の方法を今回はやるとのこと。色が変わり始めているものと、まだ綺麗なグリーンの物を分ける。
息子が近くをちょろちょろしているので作業しにくそうなメディチ。「大変そうだね〜」と写真だけ撮る母。しまいには選別し終わったオリーブを息子が混ぜ始めて作業はカオスっ!続けるほど仕事が増えてエンドレスなので、後半はやや適当になって選別が終了。
色がつき始めた方を潰す
色が変わり始めたオリーブの方は、潰して漬けるのでその辺に落ちてる手頃な石を台にしてひたすら潰す。ぷちプチと潰されていくオリーブたち。この石についた汁を少し舐めてみると、まさにバージンオイル!な苦味のある緑がかった味がした。当たり前だけど、オリーブオイルってこれからできてるんだねーっとプチ感動。
たっぷりの水に漬ける
ボールに水を張って漬ける。水に浮かぶオリーブのグリーンが鮮やか!水に漬け込むのはアクを抜くため。グリーンは10日間、潰した方は1週間毎日水換えが必要とのこと。忘れずにできるのかメディチ!
アク抜き終了。本漬け
たまに水換えを忘れた日もあったけど、アク抜きが終了。本漬け用のマリネ液(塩水)を注ぎ入れる。瓶の中にはレシピによればフェンネルが必須らしいのだけど、今回は用意できなかったのでタイム、ローリエ、丸胡椒を入れてみた。
出来上がりはどんなものになるんだろう…うまくいくといいけど!
作り方まとめ
メディチが参考にしているレシピを掲載!ちなみに、まだできていないので味の保証はございません。作り方も同じみたいだけど違う部分は色を変えてみたよ。
A そのまま漬けるオリーブ漬け(グリーンな実)
- 10日間毎日すすいで水を変える
- 水1リットルに粗塩40〜60gを入れて鍋で加熱、塩が溶けたら火から下ろして冷ます
- 冷めたら瓶にオリーブ、ハーブ(フェンネル、コリアンダーシード、エルブドプロバンス等)を入れる
- 冷暗所で保管
- 3ヶ月で出来上がり
B 潰して漬けるオリーブ漬け(色が変わり始めた実)
特徴:柔らかくなる。完成後は約半年で食べきるべき
- 7日間すすいで水を変える
- 水1リットルに粗塩40gを入れて鍋で加熱、塩が溶けたら火から下ろして冷ます
- 冷めたら瓶にオリーブ、ハーブ(フェンネル、コリアンダーシード、エルブドプロバンス等)を入れ蓋は皿を置くくらいで、冷暗所で保管
- 3週間でできあがり
漬物全般に言えるけど、やってみると以外とシンプルなものが多いよね。シンプルなだけに微妙な違いで結果が違うのでそれも面白いところかも。家や近所のオリーブの木に実がなってたらやってみてはいかがでしょ。
クルミの毒?柿はKAKI?プロヴァンス秋の畑レポ
この間までは、まだまだ25度以上の日も多いなと思ってたら急にガツンと寒くなって、最低気温も10度を下回り冷たい風がビュービュー吹きまくってるここ、ラ・サボ(←住んでる場所の愛称)。
風が強すぎるし寒いし、木々も色づいて強風に葉っぱがふっ飛ばされていく…外で遊ぶのもだんだん厳しくなって秋の到来を感じるこの頃。それでも秋の恵みが畑にはちらほらとあって、息子と散歩しながらちょっとつまみ食いしたり。寒いけど毎日お散歩しても飽きないから不思議。そんな我が家の畑をレポート!
えっ…⁈あなた毒持ってたの?くるみの木から実をとって食べる
日本のスーパーなんかで買うとそんなに安くないくるみ。庭に木があるとちょっと落として割って食べるなんてことができちゃうから楽しい。
くるみ割りは最近の息子のブームでもある。割り方を教えたわけでもないはずだけど、大人が割ってるのを見て自分でもやり始めた。子供はこうやって学習して成長していくんだねぇ。自分では割り切れないのでお手伝いが必要だけどね。
しかし、くるみってやつはなんて複雑な内部構造してんだ!自分で割ってみるとするっと出てこないし小さいパーツに分かれちゃうし食べにくいったらありゃしない。メディチによれば店で売ってるキレーなくるみは激しい薬品使って「溶解」的な処理をしてるからあんなに綺麗なんだってさ。それもなんだかねぇ…まぁでも食べるけど。めんどくささも自然な食べ方の醍醐味ってことで。
ただ、ガーデニング好きな人には豆知識だけど、くるみの木は毒を持っているのであまり野菜畑や家の近くとかに植えるもんじゃないらしい。調べるとWikiにその毒性について書いてあった。
ユグロンは、クルミ科植物、特にクロクルミ (Juglans nigra) の葉、根、殻および樹皮で生成し、多くの植物に対し有毒または成長阻害を及ぼす。ユグロンは、除草剤、染料、インク、食品および化粧品のカラーリング剤としてよく使われる。
造園家は、クロクルミの木の下でのガーデニングは難しいということを長く知っていた。これはユグロンが代謝に必要な酵素を阻害する効果を有するためである。
除草剤!カラーリング剤!そんな成分が自然の中にはぽいっとあったりするから知らないのは怖いもので。畑をやる人は、うっかりくるみの木を植えたりしないように注意したい。
けど、うちの畑にはそんなくるみの木が2本もあったわけで…この事実を改めて確認したこともあり結果、1本伐採。哀れくるみの木…。けど、その後器用なメディチがその木を使って素敵なウッドチェアを作って畑に新しい休憩プレイスができたので、きっとくるみの木も成仏してくれることだろう。
フランスにも柿は普通にあるの
フランス語で柿は「kaki」。そう、そのまんまなのである。 フランスに来るまで知らなかったのだけど、柿の木意外とその辺にあって、たわわに実がなってたりするフランスでは割とおなじみのフルーツのよう。スーパーでも売ってたりするらしい。フランス人が会話の中で「◯△□カキ〜」とか喋ってると急に馴染みある言葉が聞けてホッとするのか、なんとなくほんわかした気分になるので好き。
ちなみに私は柿は嫌いです(なんとなく味が…)。
一般的にその辺にあるのは渋柿が多くて、次郎柿的なのはあまり見かけない。食べ方はちょっと違ってて、メディチのお母さんなんかは柿大好きで、完璧に熟すまで待って、ジュレ状のジュルジュルになったやつをスプーンですくって食べている(お母さんだけかな)。うちの畑にある柿の木も今年はたくさん実をつけてるのでお母さんはウハウハだろう。
私の実家でもそうだけど、日本の田舎ではこの時期干し柿を作るために渋柿の皮を剥いて軒先に吊るしたりするもの。静岡で生活している時、メディチはせっせと皮むいてたっけなぁ。干し柿に関しては彼はかなり経験を積んでいる。だけど、フランスではその食べ方作り方は一般的ではない様子。先日も渋柿の干し方を教えて欲しい!とわざわざ遠くから車で訪ねてきた仲良し面白姉妹がいたほど。メディチが丁寧にデモンストレーションをしながら説明していた。
オリーブの木もたわわ
今年の夏に剪定したオリーブも無事たくさんの実をつけた。オリーブは10月下旬から11月上旬が収穫時期。ちょっと気がつかないうちにいきなり黒く色づいてきたので早いとこ収穫しなくては!採った後は、オリーブの漬物?オリーブオイル?
こんな感じの実りある秋の畑で日々のんびり遊んでいる私たち。
ちなみに、近くに住んでる人がほとんどいないので、こうした散歩の時にも一切人に会ったりしない。もっと寒くなる冬はいつも以上に孤立するこの集落…寒さに備えて暖炉用薪の準備と家の中でどう過ごすか考えとかなきゃなぁ。
突撃!フランス田舎の美容室
フランスに来てから髪が伸び放題で、髪切りたいフラストレーションMAXだった私。
育児に忙しくちょっとでも時間が惜しい日々。そもそも周りに人もいないし外出は週に一回くらいしかないので長い髪で遊ぶこともなく、夏はとりあえず三つ編みしたりまとめるだけ。乾かすのも時間かかるし水道代高いしエコじゃないし、いいことが全くないのでいよいよ切りに行くしかないかと心を決めたのは夏の終わり。
たかが髪を切るのになぜそんなに腰が重いのか?それにはちょっとした理由があるんです。
ヨーロッパで髪を切るのはバクチやで
本当かどうかは定かでないものの、前評判で「ヨーロッパで髪を切るのは危ない」と聞いていたのがまず一つ目。なぜかというと、ヨーロッパ人とアジア人の髪質は結構違うので、経験のない美容師さんだと結果がとんでもないことになる、とのこと。満足にしゃべれないフランス語で切りたい髪型を伝えられるかでさえ定かでないのに…失敗されたらしばらくおかしな髪型で暮らさなきゃならないなんて…そりゃあ怖い。と敬遠していたのもあって半年以上切らない結果になっていたのでした。
田舎は美容室選びが大切
フランスに限らず、田舎の美容室はそうかもしれないんだけど、店舗数も少なく美容師さんのテクニックもピンキリ。人に聞いて「あそこがいいよ」などと情報収集しないと、うっかり変な美容室に行って失敗…のようなこともあるから、東京みたいにふらっと見かけた雰囲気のいい美容室で髪を切ってみる、なんてことができないのです。
ちなみに、今回はきちんと店舗を構えてるお店に行って切っているんだけど、ここ田舎では店舗を持たず、自宅まで来て切ってくれる「流しのギター弾き」ならぬ「流しの美容師」が存在するらしい…そりゃ便利。ただ、その美容師さんも、情報収集しないと連絡先が入手できないので難易度は別の意味で高いと言えるかも。いつか機会があればトライしてみたい。
今回行った美容室の前評判は…
「あー、サンドラちゃんね、いい人だよ!」
決して悪い評判ではないものの、人柄を褒める人は多くあれど「うまいよ」というテクニックに関する評判が聞けなかった。さらに、なかなかスケジュールがお互い合わずにどうにか取れた予約当日、親類の男性からその日になって「彼女は男性専門だからね〜。前に妻がカラーをしに行ったらダメだったようだよ。本当に大丈夫かぃ?」なんて話も聞いてしまい、数時間前になってかなり不安になってしまった私。
それでも、髪切りたいフラストレーションMAXの私は腹をくくって行くことにしたのでした。
初めてのお義父さんの運転でオルニャックへ
お義父さんは今年で87歳。かなりいいお歳だけど元気で運転もまだ現役。当日はメディチが忙しかったので仕方なく初めてのお義父さんの運転で車で10分ほどの美容室に行くことに。
いや…お義父さん意外とスピード出しますよね(汗)100キロ出た時もあってちょっとヒヤヒヤ、車が少ないからってセンターライン無視でドキドキ。
集中を妨げたら命が危ない…!お義父さんは耳が遠いので話をするのを控えようと決めてシーンとした車内で一人冷や汗を握る私。どうにか目的地のオルニャックに到着して美容室を発見、「終わった頃に駐車場で待ってるね」とお義父さんと別れて、念願の散髪へ不安な気持ちを抱えながらドアを開けたのでした。
こじんまりとした美容室に入ると
店内には男性客が一人いて、まだ髪を切っている最中のご様子。
噂通り近隣のメンズ御用達なのか。
前評判を気にしつつもボンジュールと笑顔でご挨拶。サンドラさんは評判通り感じのいい雰囲気で「どうぞ座ってね」と優しく声をかけてくれました。
することもないので先の男性の様子を観察。おしゃべりしながらハサミを軽快に動かすサンドラ。男性は「まだまだ長いよ!もっと短くしちゃってよ!」と結果坊主に。切り終えて「いいねー!さっぱりした!パッフェ!」とご満悦な様子の男性。
いや、ハサミで切ってたけどそれなら初めからバリカンでよかったんじゃ…?
と心の中でつぶやく私を残し、ちょっと田舎くささの漂う服装の男性は支払いを済ませて店を出て行き、私の番がやってきた。
いきなりシャンプー台へご案内
まずは席に座って「どんな髪型にしましょうか」とお話をしてからいろいろ始まるイメージがあったのでいきなりの展開に少し戸惑う私。パサリと肩にかけられるタオル。シャーと髪が濡らされた後、ワシャワシャもぞもぞと洗われる髪…。
…うーん…あんまし気持ちよくない。
比べちゃうのも悪いのですが、これまでのシャンプーの方が隅々まで洗われてる感があって気持ちよかった。
それに何と言っても、耳っ!耳に泡やお湯がガンガン入ってきてるんですがー!
拭きたい衝動に駆られつつも、仕方ないかと諦めて身をまかせているうちにすすぎへ。こちらもちょっと…雑?ちゃんと流せたのか不安が残る仕上がりでした。
シャンプーの最中、探り合い状態でどちらから会話に斬りこむか決まらないまま数分が経過。思い切って「フランスに来て初めての美容室なんですよ〜」と切り出すと、サンドラも少し砕けた感じになってスモールトークがスタート。どこに住んでるの〜出身はどちら〜?などのお話をしつつ、ひとまずシャンプーは終了。
さぁ、いよいよ切ります
席に座ってポンチョ的なのを着せてくれるのは普通なんだけど、ガウン的に羽織って前がノーガード。引っ張っても長さ足りないし、これじゃ膝の上にも切った髪落ちるがな。まぁ仕方ないよね、とあまり考えないようにしてとにかく切りたい髪型を伝えねば。
「写真持ってきたよ!」と自ら申し出て持参した写真を見せる。今回は20センチ以上バッサリ切る予定。サンドラはささっと見て「たくさん切るのね〜オッケー!了解っ!」でカット開始。飲み込み早いなサンドラ…大丈夫か。ここで一番気になっていた質問をぶつけてみる。
「これまでにアジア人の髪切ったことある?」
「うん、あるわよ!」
何と!幸運にもベトナム人の親類がいるようで癖のある毛やストレートヘアを切ったことあるみたい。これを聞いてちょっと安心。しかし喜んだのもつかの間、まずサンドラが手にしたのは剃刀。迷いなく髪に当てて首のラインでザックザク。ものの5分もかからずショートヘア。
ちょ、ちょっと思い切りよすぎじゃない?と一転不安マックスに。
ハサミに持ち替えたサンドラは髪をパート分けして切り始めた。こちらの勝手な印象だけど、繊細なちょきちょきでなくハサミ使いがやや荒く感じる。
サクサク。サックサク。
…レイヤー?みたいなのはあまり気にしない感じでところどころ揃えるように切っていく。このままではおかっぱ頭になるのでは?
サンドラが入れてくれたコーヒーをすする鏡に映った私は、少し遠い目をしていたのでした。
マダム登場
美容室に着いてから30分ほど経った頃、常連ぽいマユの上にピアスをしたパンクなマダムが店に入ってきた。親しげにサンドラと挨拶を交わし、自然に、ごく自然に私の切ってる席の鏡で自分の髪をチェック。鏡越しに私とボンジュール。マダムは「先にシャンプーしたいの」的なことを話して、私の方は一旦中断となった。
サンドラが離れた後なぜか少しホッとしてふと目線を落とすと、前がノーガードなせいでセーター全面と膝の上は切った髪でいっぱい。つまんで少し落としてみる。
会話はその場にいるみんなで
マダムの髪を洗うサンドラが「こちらのお客さん、初めての美容室なのよ〜」から私もあちらの会話に強制加入。話を聞くと、マダムはタイやインドネシアなどに旅行行ったことあるようでアジア方面に詳しいそう。
拙いフランス語でどうにか話していると「フランス語話せるじゃなーい」と褒めていただき、いつも自信がないだけに内心とても喜ぶ私。サンドラ曰く、前に2人くらいフランス語を全く話せないお客さんがきたとか。一人はドイツ人で、写真を見せて「これ」みたいなジェスチャーのみ。あとはスペイン語でゴリ押しのお客さん。その時はわからないから大変だったとか。
仕上げのスキバサミでカット終了
マダムのシャンプーが終了し、帰ってきたサンドラ。マダムは椅子でくつろいでいる。スキバサミでやっぱり割とざっくりカットが進行。けれど、だいたい形が見えてきて思ったより大丈夫な雰囲気。
ま、見せた写真のスタイルとはぜんっぜん違うけどねっ!
ドライヤーでブワーッと切った髪を飛ばしてささっとタオルで拭ってカット終了。最後に襟足をシェーバーで整えて、鏡を見せてくれたサンドラ。うむ、結果オーライ。
マダムにも笑顔で「とっても綺麗よ!」とお褒め頂き、安堵の笑顔を返した私でした。
お支払いと感想
お支払いは25ユーロ(だいたい3千円くらい)で、45分程度で終わってしまった。日本の美容師さんに比べると繊細なカットでは全くないけど早いのはちょっと良いかも。けど、カラーで失敗した人もいたみたいだし、細かく意見しないと多分サンドラの切りたい感じ(切れる感じ)になっちゃうんだろう。ぶっちゃけサンドラのテクニックはあまり高評価ではなかった。
けれど、終わってみて「フランスだからこう」みたいな特別なことはあまりなかったように感じたのでした。強いて言えば仕上がりまでが早いことと、フランスに来てよくあることだけどその場に居合わせた人たちとは自然に会話をするような空気があるところかなぁ。日本の田舎では割とあることだから、これも特別というわけではないけど。
「気をつけて帰ってね」「ボンジョルネ」でみんな笑顔でさようなら。
来週からくる来客の話で盛り上がるお義父さんの運転にハラハラしながら帰路に着いたのでした。
次回またサンドラの美容室に行くかは…ちょっと考えたい。他も試したいしね。
フランスに海外移住!に至るまで
気がついたらフランスのド田舎で10ヶ月生活している私です。
田舎すぎてやることが森の中の散歩くらいしかなく、何か他にしたいなということで、かなり最終候補まで残った「とにかくゲームする」という選択肢を退けてブログを始めてみることにしました。
始めるにあたって最近お会いしていなかった人や全く知らない方々に、私がフランス移住するに至った流れを少し簡単にお話しすることから書いてみることにします。
全く海外で暮らすなんて考えてもいなかった20代後半、転機到来。
特別外国人との恋愛にも興味なかった私が、全く意図せず、 フランス人の彼(そういや美大受験時代に苦労して描いてた石膏像の髪型に似てるなーということで今後は、彼=メディチとする)と知り合って月9並みのドラマティックな困難もありながら、晴れてお付き合いがスタート。
結果、Hello World。
改めて思い起こすとその時にはいろんなことが外側に向いていて、人生の転機になったんだなぁと今はしみじみ感じます。
東京で暮らすメリットを感じなくなりつつあった30代前半。
一浪して入った多摩美術大学でインテリアや建築を学んだ頃から上京して就職、店舗設計からウェブデザイン、2回のジョブチェンジをさらりと済ませ東京での暮らしも9年が経過。
親の承諾もなんとか得てメディチと一緒に暮らし始め、応募してみた外資系のプチ商社にもご縁があってオンラインショップ運営担当として転職。自由度の高い職場なおかげで私生活も仕事も楽しく充実した数年が過ぎた頃。
なんとなく気がつき始めてたけど…私、全くシティライフ興味ないんじゃ…?
都心に出てショッピングやグルメ三昧!夜の街に繰り出して夜遊びYeah!イベントがあったらお出かけ!
的なことは早々に卒業してしまい、
服はユニクロやファストファッションで十分満足。出かけるより家でまったりしたい。外で外食より友達呼んでホームパーティ派。
職場が銀座近くだったので出勤には1時間くらいはかかっていて満員電車にも飽き飽き。そろそろ他の生活もいいかなーなんてぼんやりと考え始めていたのでした。
フランスっていうのもありか
4度ほど彼の南フランスの実家に遊びに行ったりしてそれまで全く興味がなかったフランスという国について知り始め、「お義母さんや友達とちゃんとフランス語で会話できたら楽しいよね」という動機からフランス語教室にも通い始めました。
彼の実家はフランスとは言ってもパリのような大都会でないどころか、地方都市よりさらにさらに人口密度が下の方に行っているまさにド田舎。山の中すぎてこの時代に携帯の電波が入らないような奥地で周囲に家はあるものの、別荘ばかりで定住しているのは2軒だけ。けれど、周囲の人は優しくて、珍しい日本人でも暖かく接してくれる人ばかり。そんな場所だから、「ここならありかも」と訪れるたびに漠然と感じていました。
そんな中、4度目のフランス旅行から帰ったその日、帰りのバスの中から見た景色。
どんよりと淀んだ暗い雲が浮かぶ空の下に広がるごちゃついた建物の群れ。
たまたまそんな天気だっただけかもしれないのだけど、それまで見ていた南フランスの景色とは全く違っていて、その場所で暮らしていることに少し残念な気持ちになったのでした。彼とも、いつかはフランスで暮らしてみようかなんて話もしていて、割と軽い感じでじゃあ来年行っちゃおうか!という流れになってきたその矢先、思いもしない展開が時期を早めることになったのでした…。
思いがけない展開の結果、のんびり実家暮らし。
フランス帰国から2ヶ月後。赤ちゃんを授かったことが判明!
嬉しいのと戸惑いとで複雑な心境ながら、フランス行きどうするよ?どこで産むよ?ということで話し合った結果、少しフランス行きのスケジュールを先延ばしにして、日本で産んで赤ちゃんが6ヶ月になるまで約9ヶ月間、私の実家である静岡で二人でゆっくり暮らしましょうかということになったのでした。
その後、パパッと婚姻届も提出して夫婦に。
お腹も大きくなってきた頃、仕事もとりえず辞めるような形で神奈川→静岡に引っ越し。引っ越し業者を使わないという荒技を使ったのでマジで大変だったー。…もうやんない。
その後、お金のかかる結婚式には興味がなかったので、桜の季節にごく少数の友人を招いて実家でホームパーティーのような結婚パーティーを開催。その時、協力してくれたみんなには本当に感謝してもし足りない…一生の思い出を作ってもらいました。
その後はもう妊婦であることをいいことに、毎日ぐうたらしてのんびり生活を満喫したのでした。
いざ出産!子育てスタートから渡仏
静岡でぬくぬくと妊婦生活を満喫しながら順調に数ヶ月が経過。その生活が優雅すぎて終わりたくない気持ちもありつつ迫る予定日。さすがに体調もしんどくなって最後は「早く出てくれ!」と思い始めた頃、夜中に始まった陣痛。
最後は促進剤でブーストをかけたものの無事に超安産で、2016年6月に男の子を出産。
毎日幸せを感じつつもバタバタと子育て開始。そんな中で、田舎に行くのに自動車免許がないのはやっぱりまずい、ということで生後3ヶ月の息子をメディチと母にたくしつつ、無理やり自動車学校に通いなんとか11月に免許取得!やればできるもんだ!
そして、2017年12月に実家の家族との穏やかな生活に涙ながらに別れを告げ、ここフランスのド田舎での生活がスタートしたのでした。
とにかくやってみよう
まとめてみると意外といろんなことがあったものだね。かなりはしょったけど長く書いてしまいました。
はてさて、昨年から移住生活をスタートして早10ヶ月。
いろいろあったような、何もなかったような、とにかく田舎ゆえ穏やかに暮らしています。子供中心生活でバタバタしてばかりなので、ブログを通して今の自分を整理するようなこともできたらいいなと思っています。これまであったことも、何か機会があれば書いてみたいな。
次はいつ書くのか全くわからないど、それではまた!