プロヴァンス田舎れぽーと!海外移住×田舎暮らし

南フランスのド田舎に嫁いで子育て!毎日バタバタしながら田舎暮らしを満喫している日々のこと

突撃!フランス田舎の美容室

f:id:hagiyop:20171026042506j:plain

フランスに来てから髪が伸び放題で、髪切りたいフラストレーションMAXだった私。

育児に忙しくちょっとでも時間が惜しい日々。そもそも周りに人もいないし外出は週に一回くらいしかないので長い髪で遊ぶこともなく、夏はとりあえず三つ編みしたりまとめるだけ。乾かすのも時間かかるし水道代高いしエコじゃないし、いいことが全くないのでいよいよ切りに行くしかないかと心を決めたのは夏の終わり。

たかが髪を切るのになぜそんなに腰が重いのか?それにはちょっとした理由があるんです。

 

ヨーロッパで髪を切るのはバクチやで

本当かどうかは定かでないものの、前評判で「ヨーロッパで髪を切るのは危ない」と聞いていたのがまず一つ目。なぜかというと、ヨーロッパ人とアジア人の髪質は結構違うので、経験のない美容師さんだと結果がとんでもないことになる、とのこと。満足にしゃべれないフランス語で切りたい髪型を伝えられるかでさえ定かでないのに…失敗されたらしばらくおかしな髪型で暮らさなきゃならないなんて…そりゃあ怖い。と敬遠していたのもあって半年以上切らない結果になっていたのでした。 

f:id:hagiyop:20171026041547j:plain

田舎は美容室選びが大切

フランスに限らず、田舎の美容室はそうかもしれないんだけど、店舗数も少なく美容師さんのテクニックもピンキリ。人に聞いて「あそこがいいよ」などと情報収集しないと、うっかり変な美容室に行って失敗…のようなこともあるから、東京みたいにふらっと見かけた雰囲気のいい美容室で髪を切ってみる、なんてことができないのです。

ちなみに、今回はきちんと店舗を構えてるお店に行って切っているんだけど、ここ田舎では店舗を持たず、自宅まで来て切ってくれる「流しのギター弾き」ならぬ「流しの美容師」が存在するらしい…そりゃ便利。ただ、その美容師さんも、情報収集しないと連絡先が入手できないので難易度は別の意味で高いと言えるかも。いつか機会があればトライしてみたい。 

f:id:hagiyop:20171026041456j:plain

今回行った美容室の前評判は…

「あー、サンドラちゃんね、いい人だよ!」

決して悪い評判ではないものの、人柄を褒める人は多くあれど「うまいよ」というテクニックに関する評判が聞けなかった。さらに、なかなかスケジュールがお互い合わずにどうにか取れた予約当日、親類の男性からその日になって「彼女は男性専門だからね〜。前に妻がカラーをしに行ったらダメだったようだよ。本当に大丈夫かぃ?」なんて話も聞いてしまい、数時間前になってかなり不安になってしまった私。

それでも、髪切りたいフラストレーションMAXの私は腹をくくって行くことにしたのでした。

 

初めてのお義父さんの運転でオルニャックへ

お義父さんは今年で87歳。かなりいいお歳だけど元気で運転もまだ現役。当日はメディチが忙しかったので仕方なく初めてのお義父さんの運転で車で10分ほどの美容室に行くことに。

いや…お義父さん意外とスピード出しますよね(汗)100キロ出た時もあってちょっとヒヤヒヤ、車が少ないからってセンターライン無視でドキドキ。

集中を妨げたら命が危ない…!お義父さんは耳が遠いので話をするのを控えようと決めてシーンとした車内で一人冷や汗を握る私。どうにか目的地のオルニャックに到着して美容室を発見、「終わった頃に駐車場で待ってるね」とお義父さんと別れて、念願の散髪へ不安な気持ちを抱えながらドアを開けたのでした。

 

こじんまりとした美容室に入ると

店内には男性客が一人いて、まだ髪を切っている最中のご様子。

噂通り近隣のメンズ御用達なのか。

f:id:hagiyop:20171026042049j:plain

彼女がサンドラか!男性のサングラスが気になる…

前評判を気にしつつもボンジュールと笑顔でご挨拶。サンドラさんは評判通り感じのいい雰囲気で「どうぞ座ってね」と優しく声をかけてくれました。

することもないので先の男性の様子を観察。おしゃべりしながらハサミを軽快に動かすサンドラ。男性は「まだまだ長いよ!もっと短くしちゃってよ!」と結果坊主に。切り終えて「いいねー!さっぱりした!パッフェ!」とご満悦な様子の男性。

いや、ハサミで切ってたけどそれなら初めからバリカンでよかったんじゃ…?

と心の中でつぶやく私を残し、ちょっと田舎くささの漂う服装の男性は支払いを済ませて店を出て行き、私の番がやってきた。

 

いきなりシャンプー台へご案内

まずは席に座って「どんな髪型にしましょうか」とお話をしてからいろいろ始まるイメージがあったのでいきなりの展開に少し戸惑う私。パサリと肩にかけられるタオル。シャーと髪が濡らされた後、ワシャワシャもぞもぞと洗われる髪…。

…うーん…あんまし気持ちよくない。

比べちゃうのも悪いのですが、これまでのシャンプーの方が隅々まで洗われてる感があって気持ちよかった。

それに何と言っても、耳っ!耳に泡やお湯がガンガン入ってきてるんですがー!

拭きたい衝動に駆られつつも、仕方ないかと諦めて身をまかせているうちにすすぎへ。こちらもちょっと…雑?ちゃんと流せたのか不安が残る仕上がりでした。

シャンプーの最中、探り合い状態でどちらから会話に斬りこむか決まらないまま数分が経過。思い切って「フランスに来て初めての美容室なんですよ〜」と切り出すと、サンドラも少し砕けた感じになってスモールトークがスタート。どこに住んでるの〜出身はどちら〜?などのお話をしつつ、ひとまずシャンプーは終了。

 

f:id:hagiyop:20171026042211j:plain

日本のシャンプーが恋し

さぁ、いよいよ切ります

席に座ってポンチョ的なのを着せてくれるのは普通なんだけど、ガウン的に羽織って前がノーガード。引っ張っても長さ足りないし、これじゃ膝の上にも切った髪落ちるがな。まぁ仕方ないよね、とあまり考えないようにしてとにかく切りたい髪型を伝えねば。

「写真持ってきたよ!」と自ら申し出て持参した写真を見せる。今回は20センチ以上バッサリ切る予定。サンドラはささっと見て「たくさん切るのね〜オッケー!了解っ!」でカット開始。飲み込み早いなサンドラ…大丈夫か。ここで一番気になっていた質問をぶつけてみる。

「これまでにアジア人の髪切ったことある?」

「うん、あるわよ!」

何と!幸運にもベトナム人の親類がいるようで癖のある毛やストレートヘアを切ったことあるみたい。これを聞いてちょっと安心。しかし喜んだのもつかの間、まずサンドラが手にしたのは剃刀。迷いなく髪に当てて首のラインでザックザク。ものの5分もかからずショートヘア。

ちょ、ちょっと思い切りよすぎじゃない?と一転不安マックスに。

ハサミに持ち替えたサンドラは髪をパート分けして切り始めた。こちらの勝手な印象だけど、繊細なちょきちょきでなくハサミ使いがやや荒く感じる。

サクサク。サックサク。

…レイヤー?みたいなのはあまり気にしない感じでところどころ揃えるように切っていく。このままではおかっぱ頭になるのでは?

サンドラが入れてくれたコーヒーをすする鏡に映った私は、少し遠い目をしていたのでした。

 

マダム登場

美容室に着いてから30分ほど経った頃、常連ぽいマユの上にピアスをしたパンクなマダムが店に入ってきた。親しげにサンドラと挨拶を交わし、自然に、ごく自然に私の切ってる席の鏡で自分の髪をチェック。鏡越しに私とボンジュール。マダムは「先にシャンプーしたいの」的なことを話して、私の方は一旦中断となった。

サンドラが離れた後なぜか少しホッとしてふと目線を落とすと、前がノーガードなせいでセーター全面と膝の上は切った髪でいっぱい。つまんで少し落としてみる。

f:id:hagiyop:20171026042230j:plain

マダムのシャンプー風景

会話はその場にいるみんなで

マダムの髪を洗うサンドラが「こちらのお客さん、初めての美容室なのよ〜」から私もあちらの会話に強制加入。話を聞くと、マダムはタイやインドネシアなどに旅行行ったことあるようでアジア方面に詳しいそう。

拙いフランス語でどうにか話していると「フランス語話せるじゃなーい」と褒めていただき、いつも自信がないだけに内心とても喜ぶ私。サンドラ曰く、前に2人くらいフランス語を全く話せないお客さんがきたとか。一人はドイツ人で、写真を見せて「これ」みたいなジェスチャーのみ。あとはスペイン語でゴリ押しのお客さん。その時はわからないから大変だったとか。

 

仕上げのスキバサミでカット終了

マダムのシャンプーが終了し、帰ってきたサンドラ。マダムは椅子でくつろいでいる。スキバサミでやっぱり割とざっくりカットが進行。けれど、だいたい形が見えてきて思ったより大丈夫な雰囲気。

ま、見せた写真のスタイルとはぜんっぜん違うけどねっ! 

ドライヤーでブワーッと切った髪を飛ばしてささっとタオルで拭ってカット終了。最後に襟足をシェーバーで整えて、鏡を見せてくれたサンドラ。うむ、結果オーライ。

マダムにも笑顔で「とっても綺麗よ!」とお褒め頂き、安堵の笑顔を返した私でした。

 

お支払いと感想

お支払いは25ユーロ(だいたい3千円くらい)で、45分程度で終わってしまった。日本の美容師さんに比べると繊細なカットでは全くないけど早いのはちょっと良いかも。けど、カラーで失敗した人もいたみたいだし、細かく意見しないと多分サンドラの切りたい感じ(切れる感じ)になっちゃうんだろう。ぶっちゃけサンドラのテクニックはあまり高評価ではなかった。

けれど、終わってみて「フランスだからこう」みたいな特別なことはあまりなかったように感じたのでした。強いて言えば仕上がりまでが早いことと、フランスに来てよくあることだけどその場に居合わせた人たちとは自然に会話をするような空気があるところかなぁ。日本の田舎では割とあることだから、これも特別というわけではないけど。

「気をつけて帰ってね」「ボンジョルネ」でみんな笑顔でさようなら。

来週からくる来客の話で盛り上がるお義父さんの運転にハラハラしながら帰路に着いたのでした。

 次回またサンドラの美容室に行くかは…ちょっと考えたい。他も試したいしね。